ハンコのメンテ119番~練り朱肉編~
固くなり、へこんでしまった練り朱肉。もう寿命かも?と考える前に、「練り直し」をしてみましょう。
練り朱肉は、分離してしまった油分と顔料を混ぜ合わせ、形を整える「練り直し」をすることで、
再び使えるようになります!(スポンジの朱肉は練り直しができません。)
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ここで、お客様から持ち込まれた朱肉で、練り直しの一例をご紹介します。
【Before】練り直す前の朱肉です。真ん中がへこみ、朱肉全体にもハンコの跡がたくさんついています。
残念ですが、真ん中をへこませてしまうのは正しい朱肉の使い方ではありません。
1)外箱は色あせており、銘柄の名前も読めません…。
2)朱肉の真ん中がへこんでいるのは、きっとハンコを押すときに真ん中をくりかえし使っていたせいですね。
3)「肉ベラ」と呼ばれる金属製のヘラを使用します。
4)まんべんなく、朱肉全体をぐっさ、ぐっさと突き刺していきます。油分と顔料を混ぜ合わせるためです。
5)突き刺し終えたら、ヘラで朱肉をならしていきます。
6)器からはがすように朱肉をまとめていきます。朱肉全体を器の中でひっくり返します。
7)器からはがして朱肉をまとめると団子状になります。
(写真ではわかりやすいようにヘラで持ち上げていますが、持ち上げる必要はありません!)
8)団子状にした朱肉をさらにヘラで突き刺しながら、器全体に広げていきます。
9)刺した穴を消しながら、真ん中が盛り上がるように形を整えていきます。
【After】油分と顔料をしっかり混ぜ合わせ、形も「中高(なかだか※)」に整えました。
(※なかだかとは、真ん中が盛り上がっている状態です。)
ハンコの跡も消え、使いやすい状態に戻りました!
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今回紹介した例では、油の補充や朱肉の追加などを行っていません。乾燥の程度を見て、
練り朱肉専用の油「朱の油」を足したり、量が減りすぎている場合には同じ色の朱肉を
補充したりして、再生させていきます。
(練り朱肉の劣化の程度によっては、練り直しできない場合もございます。)
練り直すことで何十年も使えるとってもエコな文房具「練り朱肉」。
この機会にぜひ、注目してみてください!
★お知らせ★
朱肉の「練り直し」が、ハンの辻村 楽天市場店より
ご注文いただけるようになりました!
「練り直し」のご用命は コチラから → → → 【練り朱肉の練り直し】
(追記 2015年4月11日)